「昆布生産減 だし文化の危機」[掲載記事]
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 いまから20年以上前、教育専門誌での連載が始まった。毎月ひとり、どこに住む、どんなジャンルの人でもいいからその道のエキスパートに会って話を聞く、というありがたい4ページの企画だった。物理学者、生態学者、陶芸家、農業家、歴史家、植木職人、原子力研究者など、約6年にわたって70名以上の方からお話を頂戴した。それによって「ディープ・エコロジー」(当時の言葉で言えば)に私は目覚め(目覚めつつあったから求めたとも言えるが)、以来、その視点から物事を見るようになった。彼らが等しく語り、教えてくれたのは、このまま人類が顧みることなく突き進めば、その先に希望はない、ということだった。このインタビューをきっかけに、その後単行本も2冊上梓した。
 今回、北海道新聞の文化面に書いた「昆布生産減 だし文化の危機」も、この連載で20年前にお会いした昆布問屋の喜多條清光さんから最近うかがった話だ。戦前には最大約8万トンあった昆布の収穫量は減少し続け、今年ついに1万2千500トンと底を打ったのだが、それがやがて「だし文化」の衰退へとつながっていくことが怖いと喜多條さんは訴える。昆布だしの歴史は江戸時代からと意外にも浅く、喜多條さんは、この日本特有の文化が消えてしまうことを憂う。
 それにしても、なくしちゃいけないものがなくなり、やらなくていいこと、不必要なモノが次々と現出するのがやりきれない。反原発、反リニア、反(東京)五輪、反農薬、反小麦、反高層、反薬品、反カジノ(つまりは反既得権益!)などと小さき声で叫んでも、世の中はその逆へ逆へと止まることなく動き続ける。未来への負荷ばかり…。4つのプレートが集まる災害大国にはやるべきことが山積みだというのに。
2019-12-19 11:36 この記事だけ表示