石黒耀インタビュー[掲載記事]
 大阪で作家の石黒耀さんにインタビュー。
 石黒さんは、2002年、霧島火山帯の破局的噴火で南九州が全滅する未来小説『死都日本』を著し、注目を浴びた作家。火山噴火の過程が詳細に描かれており、火山学会の学者たちからも高く評価され、シンポジウムに招かれたりもした。本業は医師で、お忙しい中、長いインタビューに応じていただいた。
『死都日本』に続く第2作『震災列島』(2004年)では、東海地震→東南海地震と2つの地震が連動して起こる説をとったが、のちにこれが定説となったことからもわかるように、自然科学への造詣は深い。
 また、『震災列島』では、浜岡原発が地震によってメルトダウンを起こし、所長以下所員たちが奮闘する姿が描かれているが、その7年後に福島第一原発でほぼ同様の事故が起きるわけである。今回のインタビューでは、原発がいかに未熟な技術であるか、ましてや火山国日本においては、この上なく危険で回避すべきエネルギーだということを再確認した。原発をいまだ推進しようとしている人々、「福島はコントロール下にある」と言ってオリンピックを招致した人、さらにはそれを「おもてなし」で迎えましょうとさしたる洞察もなく支えた人々に対しては怒りが改めてこみあげてくる。また、3つの小説(先の2冊に加え『富士覚醒』という富士山噴火を描いた小説)が3.11前に広く読まれ、為政者の心を動かしていれば、何らかの手は打てたのではないかと思うと悔やまれて仕方ない。
 いまだ汚染水が排出され、トリチウムを海洋放出し続けるような福島の状況は、ある程度の想像力や自然に対する畏怖の念がわずかでもあれば、少なくとも生まれなかったのである。
2019-09-02 14:43 この記事だけ表示