『美酒復権』より V[『美酒復権』]



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「和を大事にとか、和食の時代とか、日本の伝統だとかみんな言っているくせに、全然伝統を大事にしていない。日本酒に限らず、醤油、味噌、みんな木桶を使ってきたのに、いま、木桶をつくるところはひとつしかなくて、それがなくなろうとしている。それって、非常に問題だと思うんです」
 この憂うべき事態を前に、佐藤は、いま木桶の技術を自分が継ぐべきではないか、完全に途絶える前に、喫緊に木桶の会社を立ち上げたほうがいいのではないか、と思い始めている。佐藤の頭の中にはやるべきことがいくつもあるわけだが、木桶製作はその中でいまや最優先となっているのだ。自社の大桶には、もちろん、秋田杉を使う予定だ。
 杉の木桶が酒にもたらす効果を佐藤は次のように考える。
 一、酒に抗酸化成分ポリフェノールを供給する。
 一、杉の香りは、リラックス効果が検証されている。
 一、木そのものが発酵材料となり、複雑系発酵になる。
 一、乳酸菌などの微生物が成育して発酵に多様な影響を与える。
 一、杉は生育方法や場所によって、また部位によって成分が異なる。木や製法でさまざまな酒ができる。酒質の多様化に貢献する。(『美酒復権』より)
2018-11-16 12:17 この記事だけ表示