『美酒復権』より U[『美酒復権』]
 米、麹、酵母、あるいはすべての酒造りの工程を徹底的に考え抜き、そこに思想を投入すれば、同じ酒なとできるはずもない、というのが佐藤の考えだ。
「他の蔵と同じ酒というのはまずあり得ないと思うんです。日用品や工業製品の世界だとそういうのは日常茶飯事じゃないですか。どこかでひとつのデジタルガジェットをつくったら、すぐにみんなが真似するとか。でも、僕は、そんなものを造るために帰ってきたわけでは断じてない。他の人が真似をしたければ、それはいいんだけど、自分はしたくないだけで。そもそも自然に伝統的な造りをすれば、自ずと多様性は生まれてくる。そこをあえて押しとどめて、ある特定の形にして優劣を競うというのは、二重に作為的な感じがする。僕は、作為的に、技術を駆使して人と違うものを造ろうと思っているわけではないんです。酵母は使い古された酵母だし、木桶にしてもそう。でも、こういうアナログなものを組み合わせると、やっぱり個性的なものになるわけです、現実として」(『美酒復権』より)


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2018-11-09 18:31 この記事だけ表示