絶望と救い
 威張りたい、偉い人だと思われたい、自分の経験こそが正しいと盲信している、頂点に立ってフィクサー然としていたい。でも、責任はとりたくない、失敗はすべて下の者たちの失態、局面を打開する能力がない、戦術も戦略も持っていない、地頭が悪く想像力が及ばない、そして、困難な状況からはいの一番に姿をくらます。そんな老人になりたくないと思うのは、そんな老人がいま目の前で権勢を振るっているからだ。M。そびえ立つ絶望的な老害ーー。
 先日、御年80の素敵な老人にお会いした。56歳にして会社を立ち上げ、シリコンバレーで失敗と成功を繰り返しながら、「ゲームを楽しんできた」人。スィーブ・ジョブズに請われ、サシで交渉し、自身の会社を売却したこともある。いまは主に、アイディアを持つ若者が世界に出ていくための支援をしている。若者とベンチャーキャピタルをつなげ、壁を突破するには何が必要かを授ける。昔の自慢話などしないし、未来だけを見据えて過去の引き出しからヒントを拾い上げ提示する。明確な論理と戦略、五感を使ってスピーディーに対応していく能力。絶望の一方にはこんな方もいらっしゃる。救いである。
2015-09-06 13:14 この記事だけ表示