羽田沖に出る[campionamento]

 昨晩は、表参道「圓」で新潮社の佐藤朝信氏、初対面のエディター・森山敬子さん、ランダムハウス講談社の三枝美保さん、「週刊ポスト」の山内健太郎氏と宴。解散後またまた80年生まれ山内君、82年生まれ三枝嬢と3人でさらに語る。と言っても、この時間帯に話したことは、いつものようにほとんど覚えていない。三枝嬢のハッピーな話がなんとなく記憶にある程度。
 水分で重い体を引きずり、羽田近くの大師橋下の港へ。穴子漁師の安藤昌利さんの漁船に乗せてもらい、東京湾に出る。都内の漁師はもう本当に数えるぐらいしかいない。安藤さんは穴子一本の漁師で、江戸時代、いやもしかしたらそれ以前からこの東京湾(江戸湾)で代々漁を営んできた。羽田沖の穴子は人気で、鮨屋には欠かせないネタだ。もしかしたら、安藤さんの獲った穴子をどこかの店で食べたことがあるかもしれない。そういえば、前夜、山内君、三枝嬢と入った居酒屋で、「羽田沖穴子」と書かれた煮穴子があったので頼んでみた。しかし、歯応え、味からして、あれは絶対に羽田のものではない。おそらくは中国産の養殖穴子だ。表示違反である。

 羽田空港を海から見るのは初めてだ。アクアラインのちょうど真ん中あたりの漁場に着くと、280本もの筒を20メートル間隔で海中にぽんぽん落としていく。筒の中のエサはイカだ。

エンジンをかけたまま、ときどきハンドルを操舵しながら、筒を投げ込む作業を続ける。全部安藤さん一人だけやる。私は軽い2日酔い状態だが、気分は悪くない、どころか海風が気持ちいい。投げ入れた筒は、明日の朝、回収に来る。だいたい半分ぐらいの筒に穴子が入っているらしい。昔は、一本の筒に2本の穴子なんてこともあったというが、やはり獲れる数は減っているようだ。

そして、安藤さんの春の漁場は、まさに、いま拡張しようとしている羽田空港の滑走路の下あたりにあるのだという。滑走路が出来たら、お手上げとのこと。切実だ。それにしても東京湾、思っていたよりもスケールがでかかった。机上であれこれ考えすぎていたような気もする。やはり、現場に出ないとわからないことは多い。

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