畜養マグロの現場へ[campionamento]

 畜養会社所有(社長所有?)の高速ボートで強烈な朝の日差しを浴びながら沖に向かう。小さな島が点在する中を走り抜けると
直径50メートルの大きなケージが目の前に現れる。

(ケージの中央で撒かれているのはエサとなるイワシ)
目をこらして見るとケージの中には何十何百というマグロが回遊している。地中海や大西洋で捕獲したマグロを大きな網に入れたままここアドリア海まで運んできたのである。ここで畜養された1500トンのマグロは、すべて日本に輸出される。日本人のマグロへの飽くなき食欲がこうした巨大産業を生み出しているわけである。船上でテクニカルディレクターにケージの状態などについて尋ねる。
 昼前、クロアチアを出、スロベニアを抜けて再びイタリアへと戻ってくる。やらなければならないことがいくつかあり、本当はすぐに帰国したかったのだが、帰国便がうまくとれず、結局、このあと5泊もイタリアにいることになってしまった。今回滞在するのは、トレヴィーゾというヴェネツィア近くの街。
街の中心から少し離れたホテルにいったんクルマを入れ、夕食をとるため街に出る。入ったのは、「Antico Torre 」という海ものを中心に出すレストラン。フランス産の生牡蠣、レモンとオリーブオイルだけで食べる小エビ、そして、いちかばちかで頼んだボンゴレのスパゲッティと、どれもこれも抜群に美味しい。大当たりである。カメリエーレはオーナーとおぼしき老紳士。この人がまた味があって素敵なのだが、何故かもう1人のフロアーを任されている女性(おそらくは娘さん)と折り合いが悪く、互いが互いに苛立っているのが手に取るようにわかる。こうした光景はよく日本でもみかける。厨房の中がギスギスしているとこっちも妙に落ち着かない。料理人もカメリエーレもわずか数時間限りの客前パフォーマンスなんだから、我慢してほしいよな。
 ここ数日の長距離移動や取材で、体は疲れ切っている。しかし、本夜からこのあと数日は義務はなし。自由に時間が使える。実に気楽である。

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