クロアチアのマグロ畜養業[campionamento]

 朝、隣町のビオグラッドへ。今回のクロアチア訪問の目的は、マグロ畜養場(Tuna farm)の取材である。港町のカフェで手広く畜養場を手がける社長と対面。その後、社長自らの案内で少し離れた彼の会社を訪ねる。本来なら通訳をたてたいところだが、そんな予算もアテもない。そもそもこの田舎町まで来てくれる通訳なんて見つけるのが困難だろう。水産庁の方から紹介された築地の会社の社長の取引先という細い糸にもかかわらず、クロアチア人の社長は手厚く迎えてくれた。もっとも、彼の言っていることは大方理解できるのだが、こちらの聞きたいことがなかなか表現できずもどかしい。それでも数時間話しているうちに、なんとなくリズムみたいなものが生まれ、最後には、ナショナリズムの話をしているのだから、ある程度慣れも必要なのだろう。彼のマグロ船やオフィスでさまさざまな説明を受けたあと、彼が勧めるレストランで食事をとる。かなりの高級店だが、イタリアの観光都市の中堅レストランなんかよりずっと美味しい。クロアチアの白ワインもかなりいける。2日間いて気づいたのだが、クロアチアでは徹底してメイド・イン・クロアチアのものを出してくる。テーブルの上の砂糖も水もワインも貝も全部クロアチア製(産)。高速道路のサービスエリア内で扱っている商品もとにかく自国産のものばかりだった。そこにはこれから自分たちの国を立ち上げていくぞという強い意志が見て取れる。畜養場の社長からもまさにマグロという食材でクロアチアに富をもたらせようという意志を感じた。彼はいま、日本に向けて実に年間1500トンもの畜養マグロを送り出しているのである。もっとも、この畜養マグロに関しては、WWFやグリーンピースが否定的な見解を示している。私はちょうど10年前からWWFの会員になっているのだが、私の意見はこの点においてこの環境団体とは意見を異にしている。そんなこともあって(さらには鮨好きということもあって)、こうした一連の海の問題を調べてみたいと思ったわけである。ほぼ半日、英語で考え喋ったのは実に久しぶり。やや疲れはしたものの、知らないことを知る、知りたいことを知る欲望が途切れなかったせいか、社長といた8時間が不思議と苦痛ではなかった。一日中英語で話し考えていたせいで普段とは違う疲労感に包まれたことも確かだが。それにしても暑い。ホテルに戻った夕方6時の気温がまだ30度を超えている。日焼けした人々が裸同然の姿で海岸線を歩いている。終わりなき暑さにうんざりしつつも、人のつながりを実感できたよき一日。

コメント