読むに及ばぬ1月雑記
×月×日
紅白歌合戦を見ながらT家、N家とともに年越し。やはり整形ネタは欠かせない。無事2012年を終え、新年を迎える。2012年は単行本3冊に文庫本1冊を出すことができた収穫の多い年だった。
×月×日
毎年恒例の静岡での初蹴りを見に行く。その後、編集者らと新年会となったのだが、品川付近の居酒屋が昼過ぎから開いているはずもなく、結局「デニーズ」の生ビールで乾杯というやや冴えない展開に。デニーズにて3時間以上も居座るのも初めてのこと。夜、東京に戻ってきたカズにグランドハイハットのカフェでインタビュー。焦点は、今後の動向。まもなく46歳を迎えるプレーヤーの未来を聞く。1年1年が重くかけがえのないものである、という状況はもう何年も変わっていない。こちらも準備を怠らないようにしなければ。
×月×日
高校の同級生と池尻「つくしの子」にて新年会。男女8名。日本酒しかない店だけあって、その種類は実に豊富で、あれこれ迷うほど。破格の値段で飲んで食べることのできる店だけに、簡単には入れない。一見さんもお断り。本当にいい店でした。親しい友たちとの時間は瞬く間に過ぎ、気がついたときにはとんでもない時間になっていた。
×月×日
ほぼ丸1日、食を断つ。たまにこれをやらないと体は回復しないし、体重増に歯止めがかからない。日々メタボとの闘い。新陳代謝が悪くなっているのだろう、なかなか体重は落ちていかない。バンコク、ローマで増えた分を捨て去るのにいまなお苦労している。
×月×日
文化放送にて浜美枝さんの番組の収録。拙著『宮脇昭、果てなき闘い』のことを中心に30分ほど話す。収録後、ああ、あれを話しておけばよかった、何でこう表現できなかったのか、と落ち込む。生ではないので、ディレクターがうまくつまんで編集してくれるといいのだが。夜、恵比寿「bettei」で仕事仲間と新年会。
×月×日
歌い手と四の橋「ロッツォシチリア」にて新年会。変わらぬパワーに圧倒され、「気」を吸い取られる。私だけでなく、カウンターにいる見知らぬ人々に対しても同様で、少々引く。なんなんだ、この他人との関わり方、攻め方、ちょっかいの出し方は。もっとも、この常軌を逸した「圧」あればこそ、あれだけたくさんの人の前でも輝くのだろう。
×月×日
水戸岡鋭治さんの展覧会「幸福な鉄道展」で対談するため、午後の便で博多入り。会場の「JR九州ホール」には150人以上の人が詰めかけている。テーマは一応、「『幸福な食堂車』ができるまで」ということになっているのだが、聞きに来ている方々は、もちろん水戸岡さんの言葉を待っているわけで、私は、聞き役に回った方がいいにきまっている。ちょこちょこと取材過程なんかを話しつつ、水戸岡さんから話を聞き出すというスタイルでなんとか1時間を乗り切る。有料で聞きに来ている人たちに少しでも得して帰ってもらいたいという変な考えが変な方向に話を持っていったようでもあり、不完全燃焼。会場の隣の鮨屋「山中」で主催者による打ち上げ。高校時代の友人(スナヅカとゼンタ)、担当編集者Nさんも遊びに来ていたので、その後、春吉「柳町一刻堂」で飲む。
×月×日
最終便まで時間があったので、太宰府の九州国立博物館でやっていた「ボストン展」を皆で見に行く。フェノロサ、ビゲロー、岡倉天心のコレクション。曽我簫白の初お目見えの作品「雲龍図」が圧巻だった。天満宮は成人の日とあって若者たちでごったがえしていて風情なし。再び博多に戻り、大名の「博多大福」へ。チビタベッキア出身のイタリア人の店員がいて嬉しくなり、少し喋る。その後、雪のため機材調達がかなわず羽田行きの欠航が確定する。帰京便を取り直すため、一度ホテルに戻り、アクセスするも、あっという間に翌日の夕方の便まで埋まってしまい、結局とれたのは、17:30発の便。取材も打ち合わせも入っていなかったので、単に博多での心地よい休日が1日延びたという感じではあるのだが。その後、再び大名に繰り出し「寺田屋」で飲む。
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博多シティ内にある丸善書店へ。「幸福な食堂車」の書棚チェック。2箇所の目立つところに置いていただいている。ひとつは通路に平積みされていた。有り難い。「宮脇昭、果てなき闘い」も面置きしてくれていた。このメガ書店には本当にすべての本があるのではというぐらい幅広い分野の本が置かれていて、一緒にいた同級生牛山善太の数年前に刊行された物理の教典まで整然と置かれていた。ここまでの揃えとなるともはや公共的役割すら果たしている。その後、柳橋市場に行き「柳橋食堂」で魚の丼定食をとる。いかにも市場内の飯屋で好感。岩田屋で志賀島のひものなどを買い込んだあと、夜、1日遅れで帰京する。
×月×日
庄内から上京されていた農の革命家、担当編集者A氏、食品メーカーの課長さんと銀座「バル・デ・オジャリア」でシェリー酒を飲み、ホテルのバーでご馳走になる。「人間には攪乱が必要で、これがないと人は成長はしない」という至言。密度濃い時間が過ぎていった。
×月×日
高校の後輩であり、すぐれた事業家というかリーダーと広尾「雲母」で食事。野菜には焼き方があるということを炭で焼きながら学ぶ。いい店だ。本日も至言の数々を得る。「問題の改善、解決、解消方法」や「考える前に行動することの大間違い」、「二宮金次郎はなぜ偉いとされて、どこにでも銅像や石像が置かれているのか」など話は尽きず。「突破する思考のメソッド」で脳みそが洗われる。
×月×日
中学時代の友人と中目黒「おがわ」。長らくうつ病を患っていた友人との久しぶりの再会。いっとき、躁に大きく振れたこともあったが昔の彼に戻っていてほっとする。電気治療を受けていた丸1年間の記憶が飛んでいたり、大変な病だったことを知る。しかし、まだ完全に安心はできないらしい。俗に真面目で完璧主義な人ほど陥る病と言われる。実際、少なくとも彼はそういうタイプであり、私は真逆のタイプなのだが。やはりネジは最初から1、2本ぶっとんでいた方がいいのか。でも、それもまた生来のものだからなんともしがたいしな。年をとるといろんな病が襲ってくる。
×月×日
ここ10年ほど風邪で寝込んだことなどなかった。二日酔いあるいはそれらに端を発したケガの類で倒れても、臥せるということは幸いにして皆無だったのだ(風邪の気配を敏感に察し、その手前でねじ伏せたり、回避したりすることはあったが)。が、今回は風邪の警告を受けていたにもかかわらず、休むに休めず、ついに真正面からウィルスに冒されてしまった。初期対応のミス。久しぶりに丸2日間寝ることに。
×月×日
水戸岡鋭治さん、編集者とともに新宿御苑「達広」へ。「宮脇昭、果てなき闘い」でイラストを描いていただいたお礼の会。今年の10月から走り出す寝台車「ななつ星」の話などもあれこれ。一級品を提示することの意義。やはりいつも刺激的。また新たな仕事が生まれることに。
×月×日
メディアはこぞって「景気がよくなる、株価が上がる」の大合唱である。経済を動かすものは多分に「期待値」であることはよくわかるけど、いかにも近視眼的。おいおいそこまで手放しで喜んでいていいのか、という残念なメディア多数。編集者の節操も問われている。
×月×日
博多にてJR九州唐池恒二社長インタビュー。「ななつ星」について。唐池さんはいま日本で一番リーダーシップを健全に発揮している人のひとりだろう。人間力と教養を兼ね備えた経営者は頼もしい。JAL機では「おふとんから抜け出すのに勇気のいる寒さが続いておりますが皆様どうぞ寒さに負けぬよう…」みたいな機内放送。手作り感、オリジナリティみたいなものを大事にということで流されているんだろうが、激しい違和感。「おふとん」って…。帰京後、しばらくぶりに家人と満席の「ジーテン」へ。変わらぬ味と少しの新味、この塩梅が絶妙であるがゆえ30年も続いているのだろう。
×月×日
風邪で落ちた体重が毎日200グラムずつ増えていき、わずか1週間でついに危険域まで戻ってしまう。かなり抑えているつもりでもこのざま。日本酒がいけないのか。
×月×日
進まぬ原稿に危機感。とにかく、書き始めねば、と書き出す。300分の2だけ前に進む。まずは第一歩を踏み出せたことをよしとするものの、どこかで集中して一気に攻めないと完成はおぼつかない。そして、もし万が一完成しないと今回の場合はえらいことになる。微塵の遅延も許されないのだ。
×月×日
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「g2」(講談社)発売。『1994年「つかこうへい」という世界』というタイトルで42枚の原稿を書いた。そして今日、これに加筆してより長いものにする可能性が出てきた。さらに1冊、ということになるかも(これを入れると今年は4冊か)。20年間仕事をしてきた担当編集者Y氏と恵比寿「の坂」でこれからの進め方等をあれこれ話す。
×月×日
敬愛する安岡章太郎さん亡くなる。10数年前にインタビューを申し込んだとき、体調悪くご丁寧に奥様からお断りのお手紙をいただいた。10代のときに初めて作品に触れて以来、一度として手元からはなすことはなかった。ついこの間も下北沢の古本屋で箱入りの「流離譚」上下をわずか700円で入手したばかり。
2013-01-31 11:54 この記事だけ表示